建設業許可とは
建設業を営む場合、一定の規模を超える工事を請け負うには「建設業許可」が必要です。
許可を取得することで、事業の信頼性向上や公共工事への入札参加資格の獲得など、事業拡大の基盤となります。
許可が必要な工事
建設業許可が必要となるのは、以下のいずれかに該当する工事です。
- 建築一式工事:請負代金 1,500万円以上(税込) または 延べ面積150㎡以上の木造建築工事
- その他の建設工事:請負代金 500万円以上
上記未満の工事は「軽微な建設工事」とされ、許可がなくても請け負うことが可能です。
許可の種類
建設業許可には、請け負う工事の規模や下請契約の内容に応じて、「一般建設業」と「特定建設業」があります。
許可取得の要件
建設業許可を取得するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 経営業務の管理責任者の設置
建設業の経営経験を持つ者を配置する必要があります。 - 専任技術者の配置
必要な資格または実務経験を持つ技術者が必要です。 - 誠実性の確保
過去に許可取消しや重大な違反がないことが求められます。 - 財産的基礎の確保
自己資本が500万円以上など、一定の財務基準を満たしていること。 - 欠格要件に該当しないこと
許可申請の流れ
- 要件確認・必要書類の準備
- 申請書作成・提出(都道府県または国土交通省)
- 審査(1ヵ月~2ヵ月)
- 許可通知・証明書交付
【決算変更届】
建設業許可を取得している建設業者は、毎事業年度終了後4ヶ月以内に、「決算変更届」を提出する必要があります。
事業年度が終了するたびに毎年提出するものです。
提出する書類
決算変更届には、次のような書類を提出します。
決算変更届は経営事項審査とも連動します。
- 事業年度終了報告書
- 財務諸表(貸借対照表・損益計算書 等)
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
【経営事項審査とは】
公共工事は、適切な技術力や体制を持つ建設業者が行う必要があります。
そのため、国や自治体などの公共工事の発注機関は、工事の入札に参加できる業者の資格や条件を定めています。
建設会社が入札に参加する際には、
「その会社に工事を安全かつ適切に行う能力があるか」
を事前に審査されます。
その審査の一つが経営事項審査(経審)です。
経審では、国土交通大臣が定めた基準に基づき、次の項目について客観的に審査・評価されます。
- 経営規模(工事実績や資本の大きさなど)
- 経営状況(財務内容の健全性)
- 技術力(資格保有者数や技術者体制)
- 社会性等(法令遵守、社会保険加入、安全管理体制など)
この評価結果にもとづいて、公共工事の入札参加資格が判断されます。(総合評定値P点)
| 項目 | 内容 | 評価例 |
|---|---|---|
| X1:工事経歴点 | 過去の工事実績 | 工事金額・件数 |
| X2:技術力点 | 有資格者・技術者体制 | 1級施工管理技士 等の数 |
| Y:財務状況点 | 経営分析(健全性) | 自己資本・利益率など |
| Z:社会性等評価点 | 会社の信頼性・法令遵守 | 労働保険加入、安全管理、表彰 等 |
| W:その他の加点 | 監理技術者配置や建設キャリアアップシステム(CCUS)登録等 | CCUS活用など |
事業者にあわせて、有利な点数となるようなアドバイスは、行政書士の腕の見せ所でもあります。
当事務所では、前年との点数の変化等を分析するサービスも行っています。